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AIで人手不足は減らせない? 社内AIが減らすのは「探す時間」です

担当者が1人しかいない。その人が休むと止まる。辞めたら誰も分からない。

この状態でAIの話を聞くと、「AIを入れれば人手不足が解決するのではないか」と考えることがあります。

ただ、公的な調査を読むと、いまAIが実際に使われているのは、判断の代行ではありませんでした。 上位は文書と情報の作業です。

つまり、人が足りないこと自体は、AIでは解決しません。 AIが肩代わりできるのは、「その人に聞かないと分からない」ほうです。

読み終えると、自社の属人化のうち、どこがAIで減らせて、どこが減らせないかを切り分けられます。

この記事で分かること

  • 属人化には2種類あり、AIで減らせるのは片方だけだと分かる
  • 社内AI(RAG)が何をする仕組みかが、技術の説明なしで分かる
  • 資料の状態によっては、いま作らないほうがよい場合が分かる

属人化には2種類ある

「聞かないと分からない」と「その人しかできない」

社内で「あの人しか分からない」と言われる状態は、実は2つに分かれます。

種類中身
A 聞かないと分からない答えはどこかに書いてある。探せないか、探すのに時間がかかる規程、手順書、過去のやりとり、見積もりの前例
B その人しかできない答えが書かれていない。本人の判断や技能取引先ごとの事情、例外の判断、現場での見極め

AとBでは、対処がまったく違います。

なぜ分けるのか

A 聞かないと分からない   →  資料を探せる形にすれば減る
B その人しかできない     →  人を育てるか、判断の基準を決めるしかない

AIが関われるのはAだけです。 Bには効きません。

この記事では、Aについて書きます。

AIが実際に使われているのは、どちらか

上位3つは、すべて情報の作業

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が2026年4月から6月に実施した調査で、 AIを導入・試験利用・検討している企業に用途を聞いた結果です。

用途回答率
文書・音声の要約・翻訳・校正82.5%
文書・レポートの作成80.5%
情報検索・収集・分析・レポーティング77.0%
自社製品・サービスの高度化10.9%
生産・物流・サービス提供の計画支援6.0%

出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2026」(2026年7月30日公開、2026年8月4日最終更新) https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2026.html (参照日 2026-08-26)

これは「A 聞かないと分からない」の側です

要約する/文書を作る/情報を探す
   ↓
どれも「答えはあるが、たどり着けない」を解いている
   ↓
判断そのものを代わりにやっているわけではない

同調査は、この状況をこう述べています。

事業の高度化や新たな価値創出につながる用途での利活用はまだ限定的となっている

「B その人しかできない」に届いている会社は、まだ少数です。

社内AI(RAG)とは何をする仕組みか

ひと言でいうと、資料を先に読ませてから答えさせる仕組み

一般的なAIは、学習した範囲の知識で答えます。社内の規程や手順書は学習に含まれていないため、 そのままでは答えられません。

そこで、質問が来たときに社内の資料から関連する部分を探し、 それを渡したうえで答えさせます。 この形をRAGと呼びます。

探す作業を、人からAIに移している

これまで   質問 → 担当者に聞く → 担当者が資料を探す → 答える
社内AI    質問 → AIが資料を探す → 資料をもとに答える → 人が確認する

担当者がやっていた「探す」が減ります。 判断そのものは、引き続き人がやります。

対象になるもの・ならないもの

✅ 対象になる    文章として書かれていて、答えが資料の中にある
✗ 対象にならない  資料に書かれておらず、担当者の頭の中にしかない
✗ 対象にならない  複数の資料を突き合わせて計算しないと出ない答え
✗ 対象にならない  最新かどうかが資料からは判定できない

3つ目は見落とされがちです。 古い規程と新しい規程が両方残っていると、 AIはどちらも同じ重みで扱います。

AIでは減らせない属人化

ここが、この記事で一番お伝えしたいところです。

次のものは、社内AIを入れても減りません。

資料に書かれていない判断

・この取引先だけ例外扱いにしている理由
・過去にトラブルがあったので避けている手順
・現場を見て決めている見極め

書かれていないものは、AIも読めません。 これは「B その人しかできない」の側です。

資料が古いまま残っている場合

新旧の規程が両方残っていると、AIは新しいほうを優先しません。 どちらも同じ資料として扱います。

この場合、AIを入れる前に「どれが正か」を決める作業が発生します。

答えが正しいかを判定できる人がいない場合

同調査では、AIを導入・運用している企業の課題として、 「生成AIの効果やリスクに関する理解が不足している」が45.8%でした。

担当者が1人しかいない状態でその人が抜けると、 AIの答えが正しいかを判定できる人もいなくなります。

社内AIは、その人がいるうちに作るほうが確実です。

整理されていない状態で入れるとどうなるか

AI導入の失敗を整理した記事に、こう書かれています。

そもそも、業務フローが曖昧、属人化している、ルールが統一されていない

状態だと、AIが機能しません。

逆に、「整理されていない現場」にAIを入れても、余計に混乱することがあります。

出典:永井克誌(PPconnect株式会社)「AI導入で失敗する会社の共通点|中小企業がハマりがちな5つの落とし穴」note(2026年5月19日公開) https://note.com/ai_katsushi/n/n92431dbb8940 (参照日 2026-08-26)

これは実務側の見方で、公的調査ではありません。 一つの見解として扱ってください。

いま作らないほうがよい場合

資料が紙かPDFの画像で保管されている場合

社内AIは、文章として読める資料を対象にします。

✅ そのまま使える    テキスト、Word、文字が埋まっているPDF
✗ そのままでは不可   紙、画像として保存されたPDF、FAXで受けた紙

読み取りの作業が先に必要になります。 その分の手間と時間がかかります。

データを整えることが、そもそも進んでいない場合

同調査は、データ整備・管理・流通の課題も聞いています。

課題回答率
人材の確保が難しい51.2%
データの標準化が難しい36.8%
管理システムが整備されていない32.6%

「標準化が難しい」36.8%が、資料がそろっていない状態に近い数字です。

属人化しているのが「B その人しかできない」だけの場合

社内AIでは減りません。 別の手を打つ必要があります。

・判断の基準を決めて、書き出す
・複数人で同じ作業をする期間を作る
・例外の扱いだけでも記録に残す

逆に、いま作ったほうがよい場合

・同じ質問に、担当者が何度も答えている
・答えが社内の資料に書いてある
・資料がテキストかWordで保管されている
・いまの担当者が、まだ社内にいる

4つ目が特に重要です。 答えが正しいかを判定できるのは、その人だけです。

判断に迷う場合

自社の属人化がAとBのどちらか、社内だけで判断しにくいことがあります。

そういう状態でも、どの質問が繰り返されているかの整理から相談できます。

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よくある質問

Q. AIを入れれば、担当者を減らせますか

減らせません。 同調査で使われている用途の上位3つは、 文書の要約、文書の作成、情報の検索です。判断そのものは人がやっています。

減るのは「探す時間」と「同じ質問に答える回数」です。

Q. どのくらいの資料から始められますか

全部を対象にする必要はありません。 いま実際に質問が来ている領域の資料を10件程度から試せます。

Q. 担当者が辞めそうです。急いだほうがよいですか

資料が残っているなら、いま作る価値があります。 ただし、答えが正しいかを判定できるのは、いまの担当者です。 その人がいるうちに検証まで終えるほうが確実です。

Q. 資料が紙しかありません

読み取りの作業が先に必要です。その分の手間と時間がかかります。 まずは、いまテキストで持っている資料だけで試す方法もあります。

まとめ

人が足りないこと自体は、AIでは解決しません。 いまAIが実際に使われている用途の上位3つは、文書の要約、文書の作成、情報の検索で、いずれも「答えはあるが、たどり着けない」を解くものです。属人化のうち、AIで減らせるのは「その人に聞かないと分からない」ほうだけです。「その人しかできない」判断は残ります。

まず、担当者に繰り返し来ている質問が、資料に書いてあるかを確かめてください。書いてあるなら減らせます。書いていないなら、AIより先に決めることがあります。

「同じ質問が何度も来ている」「担当者が休むと止まる」という状態が続いている場合は、どの質問が繰り返されているかの整理からご相談いただけます。見積もりの前に、資料がそのまま使える状態かをお伝えします。

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